20080822Fri
■COMIC□月刊アフタヌーン■ オクターヴ(1) / 秋山はる
「ブリッブリのアイドルのカッコした雪乃をムリヤリ犯したいなぁ」
という台詞だけを抜くとただの変態漫画かと思われそうですが、すんません…一番好きな台詞なんですよねえ。雪乃のアイドルになる夢の挫折、中傷のトラウマからの東京での疎外感・孤独感、そこで出会った女性との恋、というのがメインなのですが私が楽しんでいるのは雪乃と節子の関係性ですね。
ここで最初に抜き出した台詞が関係してくるんですけど、百合自体がそうなのかわからないんですけども私には代償行為に見えるんですね。夢も破れた、友人もいない(田舎に一人いるくらいか)、仕事も上手くいかない、彼氏もいない、服も買えない、昔のアイドル仲間はもう違う世界にいる(アイドル再出発、AV女優、大学生)。というような状況で雪乃を襲っているのは欠乏感とでもいいましょうか、何一つ満たされない状態にあるわけです。
そんな雪乃が銭湯・コインランドリーという場で出会った女性節子との恋に落ちるというのはありえない状態ではないんですが、節子だから、女性だから好きになったわけではないと思うんですよ。それもあるのかもしれないんですけど、一番なのは「この虚無感を埋めて欲しい」という気持ちであって、腹減りまくっている状態だったら嫌いなものでも食べられるみたいな。だけど、雪乃にしてみれば現在彼女には節子しかいない(というくらいに追い込まれていると思っています)わけで、すがりたい気持ちが恋だと錯覚させているように思えます。
節子は節子で雨に濡れている痩せこけた子犬を拾ってしまうというようなところが強いんじゃないかな。だからこそ「ブリッブリのアイドルのカッコした雪乃をムリヤリ犯したいなぁ」というような発言が本人を目の前にして言えるとおもうんですよね。どこで見たか忘れたんですが「私にチンコが生えてたらなあ」という台詞を連想するような、距離感がこの台詞に現れているんじゃないかと。こんなこといわねえもん。また、後半の方では「雪乃もさ―男とセックスしてきていいよ?」という台詞もあり、少なくとも雪乃の恋心は代償行為であって、気の迷いでアブノーマルな世界には入れたくない、本当に気の迷いならばノーマルな世界に戻ってもらいたいというような気持ちが現れているのだと思います。
ここで説教好きの読者なら「それは代償行為だよ!」と居丈高に言って二人の関係が解消される方向が正しいと思うのでしょうが、残念ながら私はそこを越えて二人は結ばれて欲しいそう思っているんですよね。今は仮初めの恋人である女性二人の恋が「本物」の恋になる様を見てみたい。今は一晩のアバンチュールかもしれないけど…そんなロマンティックなことを考えている年でもないんだけどなorz。
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